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PROJECT STORY04 DX(デジタルトランスフォーメーション)を推進せよ!~ 業務と働き方の双方を改革 ~

オタフクソースでは近年働き方改革が進み、テレワークも多くの部署で取り入れられていた。 しかし、オタフクソースの受注業務を一手に担う営業事務サービス課では、テレワークが難しく、なかなか大規模なテレワークが実現できていなかった。壁となっていたのは、「受注業務」。お客様からのFAX受注に関してはすでにデジタル化が進んでいたものの、入力後のチェック業務に関しては、品質低下の観点から未だ紙印刷を行っていた。その為会社にいないと業務ができなかったのだ。 しかし、コロナ禍により、テレワークの早期実現が緊急課題として浮上した。この喫緊の課題を解決するために営業事務サービス課のメンバーは、情報システムを担当するシステムデザイン課と協力し、取り組むことに決めた。 次々と現れる課題をクリアし、「営業の大動脈」とも言われる受注業務を大きく変革し、DXを成し遂げた、営業事務サービス課とシステムデザイン課の挑戦に迫る!

※「DX」は、「テクノロジーにより産業構造を変化させること」を意味する。単なる「デジタライゼーション(デジタルを活用して効率を上げること)」とは異なり、「産業構造を変化させる」ような、より大きな改革を意味する。


PROJECT MEMBER

写真右から
IT推進部 システムデザイン課 山谷 柚季
ロジスティクス部営業事務サービス課  小堀 望、種元 麻衣、山本 忍

MISSION01 緊急事態に即時対応し、大規模テレワークを実現せよ!

営業事務サービス課は、オタフクソースの受注業務と請求業務を行う部署だ。受注業務はお取引先様からいただくご発注の入力やエラー対応で、その数は1日数千件に及ぶ。請求業務は返品処理、入金処理や違算調査をはじめ、請求書や納品書の発行、投函までの一式。本社はもちろん全ての営業所の受注・請求業務を取り扱う営業事務サービス課は、“止めることができない”まさに営業の大動脈だ。
かねてよりオタフクソースではテレワークを推進してきたが、営業事務サービス課では、大規模なテレワークを実現できないことが悩みの種だった。大きな壁となっていたのは「チェックリスト印刷」。

お客様のFAX受注に関しては、FAXを印刷せず画面上で確認できるようデジタル化を行っていた。しかし、受注入力後のチェックリスト、またEDIを始めとする会社間のデータ受注に関しても、エラーリストを未だ印刷し続けていた。
敢えてチェックを行う物を印刷していたのは、品質を高める為でもあった。入力件数に比例して膨大な量のチェックリストが画面上に排出されるためだ。
紙印刷の為複合機の傍にいないといけないことがボトルネックになり、実現を阻んでいた。
どうすればテレワークを推進することができるのか、営業事務サービス課ではQC活動で改善テーマに揚げ、自主的に改善に取り組んでいた。ところがコロナ禍によって事態が急変した。密を避けるため、そして、万が一にも感染拡大により受注業務を止めることがないように、テレワークは、すぐに実現しなければならない、緊急課題となったのだ。

QC活動でテレワーク化に取り組んでいた営業事務サービス課の種元、小堀、山本は「一気に大きな成果を出すためには、これまでの考え方ではダメだ。根本的なシステム改革に着手しないとスピード感のある解決はできない。そのためにはIT推進課と一緒に取りくまないと……」と考えた。そして、ある人物に声をかけた。「山谷さん、ちょっとご相談があるんですが……」

MISSION02 山あり、山あり、山あり……!業務改革の山を踏破せよ!

情報システムを担当する部署であるシステムデザイン課の山谷は、数年前まで営業事務サービス課に在籍していたため、営業事務サービス課の業務も、種元達の置かれている状況のことも、よく知っていた。受注業務もシステムのこともよく理解している山谷は、この課題解決の適任者だった。

相談を受けた山谷は、この件の重要性を即座に理解したが、同時に課題の大きさも感じた。この課題を解決するためには、既存のFAX受注を受け取っているシステムにチェックリストのデータを追加する必要がある。だがチェックリストのデータは特殊な帳票にしていた為、既存のシステムの仕様を変更しなければならない。
また、膨大なチェックリストを既存のシステムで使用するには、データ容量も大きくなり、パソコンの動きが遅滞することも考えられた。ただ単にチェックリストをデジタル化すれば良いというだけではなかったのだ。

しかし、紙印刷を止める事は、リモートワークを行う上では絶対に必要であった。システムデザイン課はすぐさまシステムの仕様変更に着手した。IT推進課がシステム側の対応を行っている間に、営業事務サービス課では、業務フローや運用方法の見直しを進めていった。
お客様に正しく商品をお届けするために、常日頃から営業事務サービス課はミスを最小限に抑えることに全力を尽くしている。しかし、業務フローが変われば業務にミスが生じやすくなり、一方で既存フローや簡単な運用を追求しすぎればシステムの複雑化を招く可能性が高くなる。アンケートやブレーンストーミングの手法を用いて、品質と効率を落とさない方法を確認した。

さらに、メンバーの状態が簡単に確認できるように見える化を行い、業務の偏りが起こらないようにするなど、チェック方法が変わっても受注業務を円滑に、ミスなく遂行できる「運用ルール」に変更を行った。データ容量が多くなる為、既存のシステムのデータ整理も併せて行った。
慎重に進めるべきシステム変更と業務改革を、この局面で一気に進めるためには、かなりの困難があった。準備はするものの、お客様からのご注文がなければ業務が始まらないだけに、時間外にテストすることができず、本番で新しい業務フロー・運用となることもあった。そのためハプニングが起こることもあった。

「本日よりシステム設定を変更します。じゃあ、これからデータ送ります。」山谷の連絡を受けてPCの前に集まる3人。送られてきたデータを前に「?!」「想像していたのと違う…。」と慌てて対応に走ることもしばしばあった。
こうしてトライ&エラー&リカバリー、そして全員での話し合いを繰り返しながら、幾重にも連なった山を踏破していった。こうして、試行錯誤の末、年20万枚も印刷されていたチェックリストが、紙での出力から、パソコン上での受信に置き換わり、テレワークへの道筋が整った。

MISSION03 大規模リモートワークの実現へ!課一丸となって進め!

全国の受注業務を一か所で請け負うために、営業事務サービス課は総勢25名を超す大所帯だ。業務改革を成功させるためには、その全員の理解と協力を得なければならない。種元たち3人と山谷は、業務改革を行う傍ら、営業事務サービス課の全員に、業務改革の重要性を説明し、協力を仰いだ。

説明を聞いた後、戸惑う表情を見せた者は少なくなかった。

業務改革は理解できるが、ただでさえコロナ禍によりお客様からのご注文量が増えており、通常の受注業務のボリュームも大きくなっている。そこに、業務改革が重なることに、不安を感じたようだった。

「慣れない仕組みの中でミスが起きるではないか?」と、皆、「業務のクオリティ」にこだわるだけに心配していた。種元たちも気持ちは同じ。

全員の気持ちが一つにならなければ、このプロジェクトは成功しない。 何度も何度も繰り返し、話し合いを重ねた。どんな小さな疑問にも丁寧に向き合った。こうした種元達の熱意に、課のメンバーも徐々に前向きになり、営業事務サービス課は一丸となって、挑戦を始めた。

種元たち3人は、システム変更に伴う手順書を作成し、課内で説明会を開いた。24名が新しい運用を行っても全員が業務のクオリティを落とさないためには必要なことだった。さらに、リモートワークの環境整備も行った。

置き型電話を廃止し、クラウドフォン(インターネット上で受けられる電話)の使用に移行した。これにより、会社に出社していなくとも社内外との電話連絡をスムーズに行うことができるようになった。

さらに、受注業務において大切なコミュニケーションについては、新しいシステムの導入を追加で行った。IT推進課から提案された「仮想オフィス空間」だ。「受注業務は、レシーブ、トス、スパイクで相手に球を返すバレーボールのように連携して完結します。その際、声がけが大切。」という声が営業事務サービス課内から上がったのだ。「仮想オフィス空間」では、常に全員を音声で繋げることができ、オフィス内と同じ環境を在宅で実現できた。

他にも、全員のテレワーク時の通信環境の確認、テレワーク時のリモート環境での業務実施方法のトレーニングも行った。 

業務改革を行いながら、課のメンバーのトレーニングを同時に行うのは、種元たちにとってもは、ハードなスケジュールとなったが、3人は熱意をもって取り組んだ。

FOR THE FUTURE

大規模テレワークを目指して始まった改革は、最終的には、業務の見直し、ペーパーレスの実現、クラウドフォンへの切替、仮想オフィスの導入など、様々なデジタル環境への移行を実現し、社内の働き方をまた一つ大きく前進させた。この取り組みが評価され、『デジタルとネットの活用で営業事務のテレワーク実現』で社内表彰を受けた。

「当初は懐疑的な意見もあった営業事務のメンバーから、役に立った!便利になった!という声を聞いて本当にうれしかった。今回のプロジェクト成功を他部署でも水平展開していきたい」と山谷。

 「できない理由を考えるより、できるようにするにはどうしたらいいのかという考え方をすると、実現するんですね」「営業事務にはテレワークは無理と多くの人が思っていたけれど、何事も諦めなければできるんだな、と自信になった」と種元。

小堀は「どのような状況でも完全な受注業務を遂行できるようになった安心感がうれしい」と語る。そして「QCサークルから始まった取り組み。IT推進課も巻き込んでのプロジェクトとなりましたが、やってみようという周囲の後押しがあったから、成し遂げられたと思う。」と山本はうれしそうに結ぶ。

諦めなければ実現する!このプロジェクトで得た自信を胸に次なる改善に取り組んでいる。